使わない化粧品やタオル、洗面所を心穏やかに整理する小さな一歩
年齢を重ねるにつれて、少しずつ物の整理を考え始める方もいらっしゃるかもしれません。特に毎日使う洗面所は、気がつくと物が増えてしまいがちな場所の一つです。
化粧品やタオル、石鹸のいただきものなど、使いきれずに溜まっている物はありませんでしょうか。いつか使うかもしれないと思っていても、結局そのままになっているかもしれません。
洗面所の整理は、生前整理の最初の一歩としてもおすすめできる場所です。なぜなら、場所が狭く、比較的短時間で取り組めるからです。そして、毎日使う場所がすっきりすると、日々の暮らしが少し心地よくなるのを感じていただけるかと思います。
この度は、洗面所に焦点を当て、無理なく心穏やかに整理を進めるための小さな一歩をご紹介いたします。完璧を目指すのではなく、ご自身のペースでできることから始めてみませんか。
なぜ洗面所の整理から始めるのが良いのでしょうか
生前整理や終活に向けた整理は、家全体となると大変に感じられるかもしれません。どこから手をつけて良いか迷う方もいらっしゃるかと思います。
その点、洗面所は比較的スペースが限られています。キッチンやリビングに比べて物の総量が少ないため、短時間で区切りをつけやすいという利点があります。
また、化粧品や洗剤など、使用期限があったり、流行が変わったりする物が多いため、比較的「もう使わないな」と判断しやすい物が多い傾向にあります。思い出の品に比べて、心理的なハードルが低い場合が多いかもしれません。
さらに、洗面所は朝起きて顔を洗ったり、夜眠る前に身支度を整えたりと、毎日必ず使う場所です。ここが片付くと、毎日の始まりと終わりが気持ちよく感じられます。すぐに効果を実感できることは、その後の整理を進める上での励みにもつながるでしょう。
洗面所を整理する小さなステップ
洗面所を一度に全部片付けようと思うと、疲れてしまうかもしれません。大切なのは、無理なく、ご自身のペースで進めることです。ここでは、ほんの小さなステップで始められる方法をご紹介いたします。
ステップ1:まずは「見る」ことから始めましょう
まずは、洗面所の引き出しや棚を開けて、中に何が入っているかを見てみましょう。全部をひっくり返す必要はありません。ただ、何があるかな、と眺めるだけで十分です。
「こんな物があったかしら」と、忘れていた物が見つかることもあるかもしれません。すぐに片付け始めなくても大丈夫です。まずは現状を把握することから始めましょう。
ステップ2:整理する対象を一つに絞りましょう
一度に複数の種類の物を整理しようとすると、混乱してしまうことがあります。今日は「化粧品だけ」、次回は「タオルだけ」、その次は「洗剤や掃除用品だけ」というように、整理する物の種類を一つに絞ってみましょう。
例えば、今日は洗面台の引き出しに入っている化粧品だけを見てみます。明日は棚のタオルを見てみます。このように、小さな範囲から取り組むことで、無理なく進めることができます。
ステップ3:「いる」「いらない」「迷う」に分けてみましょう
対象を決めたら、その物一つひとつを手に取ってみましょう。そして、「今使っているか」「これからも使うか」「もう使わないか」を考えてみます。
- いる物: 今もよく使っている物や、これからも使う予定のある物。
- いらない物: 期限が切れてしまった化粧品、肌に合わなかった試供品、破れてしまったタオルなど。
- 迷う物: まだ使えるけれど、あまり使っていない物。いただきものだけど好みに合わない物など。
物理的に、「いる」「いらない」「迷う」と書いた箱や袋を用意すると、分かりやすいかもしれません。その中に、それぞれの物を分けて入れていきます。
ステップ4:「いらない」物の処分を考えましょう
「いらない」と判断した物は、そのままにしておくと結局また物の山になってしまいます。判断がついたら、次は処分を考えます。
洗面所にある物の中には、そのままゴミ箱に入れて良い物と、そうでない物があります。例えば、化粧品の容器はプラスチックやガラスなど素材によって分別が必要です。中身の液体やクリームは、下水道に流さずに古布や新聞紙に吸わせて可燃ゴミとして出すのが環境に優しい方法です。分からない場合は、お住まいの自治体のルールを確認してみてください。
タオルは、古くなったものでも掃除に使ったり、細かく切ってウエス(雑巾)にしたりと最後まで活用できます。まだ新しいけれど使わないタオルなどは、地域の福祉施設や動物保護団体で寄付を受け付けている場合もあります。捨てる以外の選択肢を探してみるのも良いかもしれません。
ステップ5:「迷う」物の扱い方を決めましょう
「迷う」箱に入った物は、すぐに結論が出ない物です。これは、無理に今すぐ決める必要はありません。
「迷う」箱は、洗面所ではない別の場所に一時的に保管しておきましょう。そして、「○ヶ月後にもう一度見直す」というように期限を決めておきます。期限が来た時に、一度も使わなかった場合は、手放すことを考えても良いかもしれません。
大切なのは、焦らないことです。すぐに判断できない物があっても、自分を責める必要はありません。
思い出の品への向き合い方
洗面所には、若い頃に使っていた香水や、旅行先で買った石鹸など、思い出の品があるかもしれません。こうした物は、「いる」「いらない」だけで割り切るのが難しいことがあります。
思い出の品は、無理に手放す必要はありません。大切な思い出が詰まった物ですから、手元に置いておくという選択肢も十分にあります。
もし、物の量を減らしたいけれど手放すのが辛い場合は、以下の方法も考えてみてください。
- 写真に撮る: 物自体は手放しても、写真として残しておけば、いつでも見返すことができます。
- 少量だけ残す: 例えば、香水であれば小さなアトマイザーに移し替える、石鹸であれば一部だけ切り取って残すなど、物の量を減らしつつも手元に置いておく方法です。
- 感謝の気持ちを伝える: 手放す前に、その物が自分の人生にもたらしてくれた良い時間や思い出に感謝の気持ちを伝えてから手放すと、心が少し軽くなることがあります。
ご自身の気持ちに正直に、心地よいと感じられる方法を選んでください。
整理のその後に
洗面所が少しでもすっきりしたら、ぜひご自身を褒めてあげてください。小さな一歩を踏み出したことは、素晴らしいことです。
整理した状態を保つためには、物の定位置を決めるのが効果的です。例えば、「化粧水はここ」「綿棒はここ」というように、物の住所を決めておくと、使った後も元に戻しやすくなります。
また、新しい物を買う前に、「今ある物で十分か」「どこにしまうか」を少し立ち止まって考えてみることも、物が再び増えすぎるのを防ぐ助けになります。
家族との共有も考えてみましょう
今回ご紹介した洗面所の整理は、もちろんお一人で進めることができます。しかし、もし可能であれば、ご家族に「洗面所を少し片付けているのよ」と話してみるのも良いかもしれません。
一緒に片付けてもらうのが難しくても、何について悩んでいるのか、どのような物を手放そうとしているのかを話すだけでも、気持ちが整理されたり、思わぬ良いアイデアがもらえたりすることがあります。
また、ご自身の持ち物を整理することは、将来的にご家族が困らないようにするための準備でもあります。そのお気持ちを伝えることは、ご家族にとっても大切な機会となるはずです。
終わりに
洗面所の整理は、生前整理や終活に向けた大きな道のりの、ほんの小さな一歩です。この一歩が、次の整理への励みとなり、ご自身の暮らしをより心地よいものにするきっかけとなることを願っております。
完璧を目指す必要はありません。今日、たった一つでも使わない化粧品を手に取ってみることから始めても良いのです。ご自身の心と体に優しく、無理なく、ゆっくりと進めてまいりましょう。