エンディング整理ナビ

体力がなくても大丈夫。疲れない生前整理の始め方と続けるためのヒント

生前整理、始めてみたいけれど「なんだか疲れてしまう」と感じていませんか

大切にしてきた物に囲まれて、穏やかな日々を過ごされていることと思います。

これから先のことを考えて、少しずつ身の回りを整理しておきたい、いわゆる「生前整理」という言葉を耳にされた方もいらっしゃるかもしれません。

頭では「いつかやらなくては」と思っていても、いざ始めようとすると、どこから手をつけて良いか分からなかったり、少し取り組んだだけでどっと疲れてしまったり、あるいは思い出に浸ってしまってなかなか進まなかったり...。

「体力も若い頃のようにはいかないし、一人で全部できるかしら」と、不安を感じることもあるかもしれません。

でも、どうぞご安心ください。生前整理は、何も一度にすべてを終わらせる必要はありません。体力が気になる年代の方でも、無理なく、そして「疲れない」ように進めるための方法があります。

この記事では、体力をあまり使わずに、ご自身のペースで生前整理を進めるための具体的なヒントをご紹介します。

なぜ生前整理は疲れてしまいやすいのでしょうか

整理を始める前に、少しだけ「なぜ疲れてしまうのか」を考えてみましょう。理由が分かれば、対策も見えてきます。

• 物理的な疲労:
  • 物を持ち運んだり、かがんだり立ったりする動作は、意外と体力を消耗します。
  • 長時間立ちっぱなしで作業することも疲労につながります。
  • 押入れの奥や高い場所など、作業しにくい場所は特に体に負担がかかります。
• 精神的な疲労:
  • 「捨てるか、残すか」一つ一つ判断するのは、想像以上に頭を使います。
  • 思い出の品に触れると、過去の出来事がよみがえり、心が揺れ動きます。これも一種の「心の疲れ」です。
  • 「完璧にやらなくては」というプレッシャーも、精神的な負担になります。

このように、生前整理は体力だけでなく、心も使う作業なのです。だからこそ、「疲れないように工夫する」ことが大切になってきます。

疲れないための「始める前」の小さな準備

さあ、実際に始めてみましょう。でも、その前に少しだけ準備をすることで、後がぐっと楽になります。

1. 「完璧を目指さない」と心に決める:

   • 最初から家中のすべてをきれいにしようと思わないでください。ゴールは「完璧」ではなく、「少しずつ、心地よく」。
   • 「今日はこれだけできたら十分」と、ハードルを下げて始めるのが鍵です。

2. 作業する「時間」を決める:

   • 例えば「毎日朝食後に15分だけ」「週に一度、午後の一時間だけ」のように、短時間で区切ります。
   • 短い時間なら、集中力も続きやすく、体への負担も少なくて済みます。アラームなどを活用するのも良いでしょう。

3. 作業する「場所」を決める:

   • まずは、小さな場所から始めてみましょう。引き出し一つ、棚一段など、すぐに終わらせられそうな場所を選びます。
   • 成果が目に見えやすいので、「できた」という達成感につながりやすく、やる気も維持できます。

4. 快適に作業できる準備をする:

   • 動きやすい服装に着替え、靴下を履くなど、足元も冷えないように。
   • 作業中にすぐに飲めるよう、お茶やお水を用意しておきましょう。
   • 必要な道具（雑巾、ゴミ袋、ハサミなど）を手元にまとめておくと、何度も立ち上がる手間が省けます。

整理を進めている時の「疲れない」工夫

実際に整理を始めたら、次のようなことを意識してみてください。

• 座ってできる作業を選ぶ:

  • テーブルの上や引き出しの整理など、座ったままでできる場所から取り組むと、足腰の負担が減ります。
  • 物の分類や書類の整理なども、座って行うのがおすすめです。

• 一度にたくさんの物を出さない:

  • 引き出し一つを整理するなら、その引き出しの中身だけを出します。全部屋の物を一気に出すと、途方に暮れてしまい、疲労感が増します。
  • 出す量を少なくすれば、片付けるのもすぐに済み、「元に戻せないかも」という不安もなくなります。

• 「保留ボックス」を活用する:

  • 捨てるか残すかすぐに判断できない物は、無理に決めようとせず、一時的に「保留ボックス」に入れます。
  • 判断に時間をかけすぎると脳が疲れてしまいます。後日、改めて見直す時間を作りましょう。判断に迷う物には「いつか使うかも」と書いた付箋を貼っておくのも良い方法です。

• こまめに休憩をとる:

  • 時間を決めていなくても、疲れたなと感じたらすぐに休憩を取りましょう。
  • 短い休憩でも、座る、伸びをする、窓の外を見るなど、体を休ませることでリフレッシュできます。

• 音楽を聴いたり、換気をしたり:

  • 好きな音楽を静かに流しながら作業するのも、気分転換になり、疲れを感じにくくすることがあります。
  • 窓を開けて部屋の空気を入れ替えるだけでも、頭がすっきりします。

どうしても疲れてしまったら、どうすれば良いか

どれだけ工夫しても、疲れてしまう時はあります。そんな時は、無理をしないでください。

• すぐに作業を中断する:

  • 疲労を感じたサインを見逃さず、作業をきりの良いところで中断します。
  • 「ここまでやっただけでも素晴らしい」と、自分自身を褒めてあげましょう。

• 横になったり、好きなことをしたり:

  • 無理に片付けを続けるよりも、一度しっかり体を休ませることが大切です。少し横になったり、お茶を飲んだり、好きなテレビを見たりして、心身ともにリラックスしてください。

• 「今日はもう終わり」と決める:

  • たとえ短い時間しか作業していなくても、「今日はこれで十分」と切り上げます。
  • また明日、体調が良い時に続きを行えば良いのです。

整理を「続ける」ための優しいヒント

無理なく続けるためには、小さな成功体験を積み重ねることが大切です。

• 「できたこと」に目を向ける:

  • 「まだこれしかできていない」ではなく、「これだけできた！」とできた部分に注目します。
  • 一つ引き出しが片付いたら、「やった！」と心の中でガッツポーズをするくらいの気持ちで、自分を認めましょう。

• 記録をつけてみる:

  • ノートに「今日は〇〇の引き出しを片付けた」「不用品を〇個処分した」など、簡単に記録してみましょう。
  • 目に見える形で進捗が分かると、モチベーションにつながります。

• 誰かに話してみる:

  • ご家族やお友達に、「今日はここまで片付いたのよ」と話してみるのも良いでしょう。
  • 誰かに聞いてもらうだけで、気持ちが楽になったり、励みになったりすることがあります。もし身近に話せる方がいなければ、心の中で「よし！」と声に出してみるだけでも違います。

焦らず、ご自身のペースで進めましょう

生前整理は、未来のご自身や、残されるご家族への贈り物でもあります。でも、何よりも大切なのは、今のご自身の心と体が健やかであることです。

どうぞ、周りと比べることなく、ご自身の体調や心の状態に合わせて、一つずつ、小さなステップで進めてください。

もし、どうしても一人では大変だと感じたら、無理に抱え込まず、ご家族に相談してみるのも良いでしょう。この記事の内容を、ご家族と一緒に読んでみるのも一つの方法です。

「疲れない」工夫を取り入れながら、心地よい整理の時間を過ごされることを願っております。