体と向き合う時間。増えがちなお薬や健康食品を心穏やかに整理する方法
体と向き合う時間。増えがちなお薬や健康食品を心穏やかに整理する方法
年齢を重ねるにつれて、お付き合いが増えるものの一つに、お薬や健康食品があるかもしれません。病院でいただいたお薬や、健康のためにと始めたサプリメント、知人から勧められた健康食品などが、気づけば棚の奥や引き出しの中にたくさん溜まってしまっているということはございませんでしょうか。
どこから手をつけて良いか分からず、そのままになっている方もいらっしゃるかもしれません。これらの整理は、ご自身の今の体と向き合う大切な時間でもあります。慌てずに、ご自身のペースで、心穏やかに進めるための方法を一緒に考えてみましょう。
なぜ、お薬や健康食品は増えがちなのでしょうか
お薬や健康食品が増えてしまうのには、いくつかの理由があると考えられます。
- 受診する病院が複数ある 同じような成分でも、病院ごとに違う名前のお薬が出されることがあります。
- 症状に合わせて種類が増える 風邪薬、胃薬、湿布など、その時々の症状で様々なお薬が増えます。
- 健康への意識が高まる テレビや広告で見て「良いかも」と思い、色々な健康食品を試されることもあるでしょう。
- 「いつか使うかも」という思い 途中で飲むのをやめたお薬や、まだ残っている健康食品を「もったいない」と感じ、保管してしまうことがあります。
これらの理由から、気づかないうちに量が積み重なってしまうのは自然なことです。ご自身を責める必要はございません。まずは、「今、これだけあるのね」と現状を穏やかに受け止めることから始めてみませんか。
整理の第一歩は「確認」から
お薬や健康食品の整理を始めるにあたり、体力的な負担を少なく、心理的な抵抗も和らげるための小さなステップからご紹介します。
まずは、家の中にあるお薬や健康食品が、どこに、どれくらいあるのかを確認する時間を持つことから始めましょう。
- 救急箱の中
- キッチンの引き出しや棚
- リビングの目につく場所
- 寝室のサイドテーブル
- 冷蔵庫の中(保管が必要なもの)
などを、無理のない範囲で見て回ります。全てのものを一度に出す必要はございません。場所ごとに分けて確認するだけでも十分です。
この段階では、「いる」「いらない」の判断は一旦置いておき、「どんなものがあるかな」「これだけ溜まっていたのね」と、現状を把握することに集中します。
具体的な整理の進め方:無理なく「分ける」
次に、確認したものをいくつかのグループに分けてみましょう。難しく考えず、大まかで構いません。
- 現在、医師から処方されて飲んでいるお薬
- 以前医師から処方されたけれど、今は飲んでいないお薬
- ご自身で購入した市販のお薬(風邪薬、痛み止めなど)
- 健康食品、サプリメント
- 塗り薬、貼り薬、目薬など
- 体温計、血圧計、湿布などの医療用品
このように分けてみることで、「自分が今、何をどのくらい持っているのか」がより明確になります。
「いる」「いらない」のやさしい判断基準
次に、分けたものの中から、「これはもう必要ないかしら」というものを探してみましょう。判断に迷うこともあるでしょう。いくつか基準を設けると、少し楽になります。
- 使用期限が過ぎているもの: 期限が過ぎたものは、効果が落ちたり、品質が変化したりする可能性があります。これは迷わず「いらない」と判断できます。
- 医師から飲むのを中止するように言われたお薬: 今後飲む必要がないものです。
- 症状が改善して、もう飲む必要がなくなったお薬: ただし、医師に「また同じ症状が出たら飲んでも良い」と言われている場合は、少量だけ保管することも考えられます。判断に迷う場合は、かかりつけ医や薬剤師にご相談ください。
- 一度飲んでみたけれど、体質に合わなかった健康食品やサプリメント: 今後も使う可能性は低いかもしれません。
- 保管状態が悪く、変色したり、固まったりしているもの: 安全のために手放すことを検討しましょう。
「いつか使うかも」「もったいない」というお気持ちは、とても自然なことです。すぐに判断できないものは、無理に決めず、「保留ボックス」のような箱に一時的に入れておくことも一つの方法です。期間を決めて(例えば3ヶ月後)、改めて見直してみるのも良いでしょう。焦る必要は全くありません。
安全な「手放し方」を知っておく
「いらない」と判断したお薬や健康食品を処分する際には、少し注意が必要です。
- 処方されたお薬: 基本的に、飲まなくなった処方薬は自己判断で捨てずに、かかりつけの薬局に持っていき、薬剤師さんに相談するのが最も安全で推奨される方法です。適切な方法で処理してくださいます。
- 市販のお薬や健康食品、サプリメント: これらは、お住まいの自治体の分別ルールに従って処分します。一般的には、錠剤やカプセルは中身を出し、紙や容器はそれぞれの素材に合わせて分別することが多いですが、自治体によって異なりますので、必ずご確認ください。液体のお薬は、そのまま流しに捨てず、紙に吸わせるなどの方法で燃えるゴミとして出すのが推奨される場合が多いです。
- 個人情報: 処方薬の袋などには、お名前や病名が書かれています。個人情報が分からないように、氏名などを塗りつぶしたり、シュレッダーにかけたりしてから捨てるようにしましょう。
整理後の「保管場所」を見直す
整理が進み、今必要なものだけになったら、これからの管理がしやすくなるように、保管場所を見直してみましょう。
- 一箇所にまとめる: 救急箱や引き出しなど、ご自身が分かりやすい場所にまとめておくと、いざという時に慌てずに済みます。
- 分かりやすく分類する: 種類ごとに小さな箱や袋に分けて入れると、さらに管理しやすくなります。例えば、「朝食後」「夕食後」のように飲むタイミングで分ける、風邪薬、胃薬、絆創膏といった種類で分けるなど、ご自身が一番使いやすい方法で構いません。
- ご家族にも知らせる: どこにお薬があるか、ご家族に知らせておくと、万が一の際に安心です。
心理的な負担を和らげるために
物を手放すこと、特に、ご自身の体調に関わるものを整理することは、体力だけでなく心にも負担がかかる作業です。
「もったいない」という気持ちは、物を大切にしてこられた証拠です。無理に「捨てなければ」と思う必要はございません。使わないものを無理に持ち続けて、管理に困ることの方が、もしかしたら心労になるかもしれません。
「今までありがとうね」と心の中で語りかけながら、一つずつ手放していくのも良い方法です。すぐに判断できないものは保留にしておく、という方法も活用してください。
この整理は、ご自身の健康を管理しやすくするための前向きな時間です。ご自身を労いながら、ゆっくりと進めてください。
まとめ
増えがちなお薬や健康食品の整理は、一歩ずつ進めることが大切です。
- 家の中にあるものを「確認」する
- 種類ごとに「分ける」
- 「いる」「いらない」を無理なく「判断」する
- 安全な方法で「手放す」
- 管理しやすい「保管場所」を見直す
この過程を通して、ご自身の健康状態を改めて見つめ直し、必要なものを必要なだけ持つことで、より安心して日々を過ごすことができるようになります。
体力や気力があまりない日には、無理せずお休みしてください。小さな範囲から始める、時間を区切って行うなど、ご自身の体と心を大切にしながら進めていきましょう。
ご家族と一緒に確認したり、整理したものを見せたりしながら、「これ、どう思う?」と相談するのも良いかもしれません。一人で抱え込まず、周りのサポートも借りながら、心穏やかな整理を進めていかれてください。