玄関の「ごちゃつき」を解消する小さな一歩
玄関は、ご自宅の顔とも言われる場所です。いつもきれいに整っていると、帰宅するたびに気持ちが晴れやかになり、お客様を気持ちよくお迎えすることもできます。
一方で、靴や傘、郵便物、ちょっとした荷物など、つい物を置いてしまい、気づくと「ごちゃついて」しまうことも少なくないかもしれません。特に、体力に自信がなくなってきたり、どこから手をつけて良いか分からなくなったりすると、見て見ぬふりをしてしまいがちになるものです。
この記事では、シニア世代の皆様が、無理なく、ほんの小さな一歩から始められる玄関の片付け方をご紹介いたします。一度に全部をきれいにしようと思わず、「これならできそう」と感じることから試してみてください。
なぜ玄関は「ごちゃつき」やすいのでしょうか
玄関が散らかりやすいのには、いくつか理由があります。
- 一時置き場になりやすい: 外から持ち帰ったもの(郵便物、買い物袋など)を、とりあえず玄関に置いてしまう習慣があると、それが積もっていきます。
- 物の定位置が決まっていない: 鍵や印鑑、エコバッグなど、外出時に必要なものが玄関にあると便利ですが、置く場所が決まっていないと、あちこちに散らばってしまいます。
- 家族の物がある: ご自身の物だけでなく、ご家族の物もあるため、どこまで手をつけて良いか迷うことがあります。
このように、玄関は「通り道」でありながら「物の出入り口」でもあるため、意識しないとすぐに物が増えてしまう場所なのです。
玄関の整理を始めるための「小さな一歩」
「さあ、片付けよう」と意気込んでも、どこから始めれば良いか迷うものです。玄関の整理を始めるにあたり、まずは「これならできる」という小さな一歩から始めてみましょう。
ステップ1:まず、床に出ているものを一つだけ片付けてみましょう
玄関の床に、履いていない靴や傘、郵便物、あるいは買い物袋などが置きっぱなしになっていないでしょうか。まずは、その中で一番気になるものを「一つだけ」手に取ってみてください。
- それはすぐに使うものですか。
- もしそうなら、どこに置くのが一番良いでしょう。定位置を考えてみましょう。
- もう使わないものであれば、捨てるか、必要な場所に移動させましょう。
たった一つでも床から物がなくなると、少し空間ができます。その「少しの変化」を感じてみてください。今日はこれだけで十分です。
ステップ2:靴箱の「一列だけ」を見直してみましょう
玄関で一番場所を取るものの一つが「靴」です。靴箱の中は、今はもう履いていない靴や、傷んでしまった靴が眠っているかもしれません。
靴箱の棚を「一列だけ」選んで、そこに入っている靴を全て出してみてください。そして、以下の3つに分けてみましょう。
- 今、よく履いている靴
- 季節が変わったら履くかもしれない靴
- もう履いていない靴、傷んでいる靴
3の「もう履いていない靴」は、どのようにするか考えます。
- 捨てる
- まだ履けるなら、リサイクルや寄付を検討する
- 家族に譲る
どれを選ぶにしても、決めるのは一つか二つからで構いません。焦る必要はありません。そして、1と2の靴を靴箱に戻しますが、この時、普段よく履く靴は取り出しやすい手前に置くと便利です。
今日は靴箱の一列だけで終わりましょう。明日、もし元気があれば、もう一列進めてみても良いかもしれません。
ステップ3:傘立ての中を見直してみましょう
傘も、気づくと増えているものの一つです。壊れて骨が折れてしまった傘や、ビニール傘など、使っていない傘が傘立てに何本も入っているかもしれません。
傘立てに入っている傘を全て出してみてください。そして、今「本当に使っている傘」「これからも使う傘」だけを選びましょう。壊れた傘や、もう使わないビニール傘は、適切な方法で処分を検討します。ご家族の傘がある場合は、相談してみましょう。
傘立てがすっきりすると、見た目も気持ちも軽やかになります。
ステップ4:小さなこまごまの「定位置」を決めてみましょう
鍵、印鑑、宅配便の受け取りに使うペン、郵便物の一時置き場、エコバッグなど、玄関にあると便利な小さなものたち。これらは、定位置がないと「ごちゃつき」の原因になります。
これらの小さなものをしまうための、小さなカゴやトレイを一つ用意してみましょう。
- 鍵はここに入れる
- 郵便物はまずこのトレイに置く
- 印鑑とペンはこの引き出しに入れる
このように、それぞれの「おうち」を決めてあげることで、使った後に迷わず戻すことができるようになります。全てのものに定位置を決めるのが難しければ、まずは「鍵」だけ、あるいは「郵便物」だけ、と一つに絞って定位置を作ってみてください。
整理を進める上での大切なこと
- 無理は禁物です: 体力と相談しながら、疲れたらすぐに休んでください。整理は一度に終わらせる必要はありません。
- 完璧を目指さない: テレビや雑誌で見るような完璧な収納を目指す必要はありません。ご自身が「少しすっきりしたな」「使いやすくなったな」と感じられれば十分です。
- できたことを褒める: たった一つでも物を片付けたり、定位置を決めたりできたら、「よくやった」とご自身を褒めてあげてください。小さな成功体験が、次の一歩につながります。
- 捨てるだけが整理ではありません: まだ使えるものは、必要としている人に譲ったり、寄付したりすることも選択肢の一つです。
ご家族と一緒に考えてみる
玄関には、ご自身の物だけでなく、ご家族の物がある場合も多いでしょう。ご家族と一緒に「この靴はどうする?」「傘立てに入りきらない傘があるけれど」などと話し合ってみるのも良い方法です。この記事を一緒に読んでいただき、片付けのきっかけにしてもらうのも良いかもしれません。
小さな一歩が、毎日を気持ちよくする玄関へ
玄関の整理は、家全体の整理の小さな入り口とも言えます。たった一つの物を片付けること、一つの棚を整理することから始まる「小さな一歩」が、毎日の暮らしを気持ちよくするきれいな玄関へと繋がっていきます。
どうぞご自身のペースで、無理なく、楽しみながら進めてみてください。応援しています。